皆さんこんにちは。
新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受け、テレビや新聞、ネット記事では有識者によりインフレーションが起こる可能性が指摘されています。
今回は、有識者が指摘するように、インフレーションは実際に起こるのかを検証していきたいと思います。
コストプッシュ・インフレとスタグフレーションが起こると庶民の懐はさらに厳しくなる?
スタグフレーションとは?
まず、冒頭で私が使用したインフレーションという言葉は、もしかしたら今回のような不景気下においては、正しい表現ではありません。
不景気下に起こるインフレーションのことをスタグフレーションと言い、明確に区別がされています。
経済学的に見ると、インフレには2種類あります。
ひとつは需要の伸びが大きく、供給が追い付かなくなることで発生するディマンドプル・インフレであり、もうひとつは、何らかの理由で供給側のコストが上がることにより発生するコストプッシュ・インフレです。
一般的に好景気の時に起こりやすいディマンドプル・インフレのことをインフレーションと言います。
その一方、コストプッシュ・インフレは原材料等の高騰で起こりますので、景気に関係なく起こるインフレですが、不景気下で起こりやすく、その場合はスタグフレーションとも言われます。
例えば、1973年に発生したオイルショックでは、原油価格が一方的に上昇したため、あらゆる製品の価格が上昇し、供給量が減ったのに対し、需要は変わらなかったため一気にインフレが進むこととなりました。
コロナウイルスの影響で中央銀行の金融緩和が進むとスタグフレーションにつながる可能性
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、世界各国の中央銀行は金融市場の安静を目指して、積極的な資金供給を行っていることは、過去の記事で解説しました。
これは、金融市場の安定だけでなく、政府による巨額な財政出動を資金調達するために必要となります。
そして、金融市場の資金量が減少すると金利が急騰するため、それを防ぐためにさらなる金融緩和が必要となりますが、それがインフレにつながると危惧されているのが現状です。
では、過去に発生したリーマンショック等のバランスシート不況の際はなぜインフレは起きなかったのかというと、当時、政府が巨額の財政出動を行っていた時に、民間の企業や家計はバランスシートの修復のために、内部留保を進め、借金の返済を進めたため、金融市場には資金がジャブジャブだったのです。
しかし、今回のコロナショック(パンデミック不況)では政府だけではなく、売上が急減した企業や、収入の減少が起きた家計でも手元資金を取り崩したり、緊急融資を受けたりするため、金融市場の資金量は減少しています。
ですので、リーマンショック時にスタグフレーションが話題とならず、今回のコロナショックでは話題となっているのです。
さらに金融緩和が進んでもスタグフレーションとなる可能性は低い
上記で解説した通り、現在の状況は理論上、スタグフレーションが起こりやすい状況に見えますが、私はその可能性は低いと考えています。
なぜなら、今回の政府と民間の借入は、インフラの加速につながるような需要拡大期の借入ではなく、収入や売上が減少した家計や企業の経費支払いに充てられるからです。
実際に需要の落ち込みを受けて石油価格が低迷する等、物価統計は下がってきています。
さらに、コロナショックに入る前の先進国ではゼロ金利以下の政策金利を掲げていたため、民間企業は内部留保をため込んでいました。
これには、2つの理由があり、①国内の設備投資よりも新興国への投資の方がリターンが見込めたことと、②リーマンショック時に植え付けられた借入を行うことへの拒絶意識を依然として持ち続けていたことが挙げられます。
ということは、コロナショックが終わった後も、上記の2つの理由が変わらなければ、先進国の民間企業では資金余剰の状態が続くことになり、これ以上の金融市場のタイト化は起こり得ないため、スタグフレーションとなる可能性は低いと言えます。
民間企業の内部留保はさらに過剰となる可能性も
コロナショックを受け、多くの民間企業や家計は貯蓄の重要性に再び気づいたと思われますので、リーマンショックの際と同様、またはそれ以上に内部留保を行う可能性があります。
また、新型コロナウイルスは第二波、第三波があるとも言われていますので、第一波がある程度収まれば、すぐにでも内部留保の積み増しに動き始めるでしょう。
なお、もしそのような動きが起こり、金融市場が従前よりも資金余剰になれば、中央銀行は金融市場を引き締めの方向に向かわせることが想定され、そうなればインフレが起こるリスクは低いと思われます。
まとめ
新型コロナウイルスの影響でインフレが起こる可能性は低いと思われますが、どのようなことが起こるかを確実に予測することは誰にもできません。
当記事はあくまでも私の私見であり、常に様々な方面からの情報を集めておく方が良いでしょう。
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