皆さんこんにちは。
住宅ローンの借入に必要になる手続きの中に、「抵当権の設定」があります。
抵当権の設定とは、不動産(借入対象の住宅)を担保にすることを公的に記録するということなのですが、その設定方法の一つに「登記留保」という方法があります。
今回は、その登記留保について解説していきます。
登録免許税を節約するには登記留保がお得!
登記とは?
登記留保の説明の前に、「登記」について解説をします。
登記とはなにかというと、不動産の情報(広さや所在地、所有者や担保の設定)を登記所の「帳簿(=登記簿)」に記録することです。
出典: 法務省HP
上図は不動産登記簿の見本です。
登記簿謄本は、「表題部」「権利部(甲区)」「権利部(乙区)」の3つで構成されています。
表題部は土地の詳細が記録されています。
土地…所在、地番、地目(土地の現況)、地積(土地の面積)等
建物…所在、地番、家屋番号、構造,床面積等
がその主な内容です。
また、マンション等、所有権が区分される建物については敷地に関する権利(敷地権)記録されることもあります。
続いて、権利部(甲区)に記録されているのは、所有者に関する事項です。
具体的には、所有者は誰か、いつ、どんな原因(売買や相続等)で所有権を取得したかが記載されています。
そして、権利部(乙区)には、抵当権等の所有権以外の権利に関しての詳細が記録されています。
例を挙げると、抵当権や地上権、地役権等があります。
ですので、銀行が担保を設定すると、 権利部(乙区)に記録されることになります。
登記(担保設定)に必要な書類とは?
担保設定に必要な書類は以下の通りです。
①抵当権設定契約証書
②権利証(登記識別情報)
③印鑑証明書
④委任状(登記は司法書士が行うため、司法書士が必要とする書類)
場合によっては、住民票等その他の書類の提出がある可能性がありますが、上記が揃っていれば、登記はできます。
登記留保とは?
では、登記留保とは何なのかというと、金融機関と借主(債務者)が担保を設定する契約(抵当権設定契約)は結んでいても、登記を申請しないことを言います。
読んで字の如く、「登記」するのを「留保(待つ)」ということです。
登記留保の場合に銀行は、上記の登記に必要な書類自体はすべて借主(債務者)から徴求し、いつでも登記申請が可能な状態にしておきます。
つまり、「少しでも債権(貸出金)の返済に危険が及ぶのであれば、すぐに登記できるように準備しておく」ということです。
また、印鑑証明書には有効期限(発行日から3ヶ月以内)がありますので、有効期限を越えないように3ヶ月毎に最新ものを借主(債務者)からもらい直します。
銀行側からすれば、3ヶ月毎の期日管理をすることと、最新の書類を入手するための負担がありますので、通常は登記留保をしたがりません。
なぜなら、最新の書類が入手できなくなると、「いつでも登記ができる」という前提が崩れ、抵当権を第三者へ主張できなくなるため、債権の保全がされなくなるためです。
銀行が登記留保を認めるパターン
では、なぜ銀行は手間のかかる登記留保を認めているのかというと、住宅ローンの場合には、登記留保を行うことによって「登録免許税の軽減」を借主が受けることができるためです。
登録免許税の減税とは?
登録免許税とは、上記のような抵当権の登記や注文住宅を購入した場合(所有権保存登記)や土地や分譲住宅・中古住宅を購入した場合(所有権移転登記)の手続きの際に納める国税です。
所有権保存登記や所有権移転登記の詳細は、下記の記事で解説しています。
登録免許税は物件の評価に対して、収める割合が定められています。
また、一定の要件を満たせば、軽減措置を受けることができます。
それらをまとめると下記の表のようになります。
【登記別の登録免許税率および軽減税率】
※長期優良住宅かつ認定低炭素住宅
※2長期優良住宅のみ
登録免許税の軽減措置を受けるための要件とは?
登録免許税の軽減措置は、令和2年の税制改正により令和4年まで軽減措置は延長になりましたが、受けるための要件は変更はありませんでした。
では、軽減措置を受けるために必要な要件を確認してみると、下記のようになります。
抵当権設定登記
下記の要件を満たした新築住宅または中古住宅を購入するための借入金
新築住宅(保存登記)
・登記簿上の床面積が50㎡以上の住宅
・新築または取得後1年以内に登記を行う
・自分が居住するための住宅
・住宅専用家屋または住宅部分の床面積が9割以上の併用住宅
土地(移転登記)
特段ありません。
中古住宅(移転登記)
・築後20年(耐火建築物は25年)以内、または平成21年4月1日以降に取得する地震に対する安全上必要な構造・技術水準等に適合する一定の中古住宅
・登記簿上の床面積が50㎡以上の住宅
・取得後1年以内に登記を行うこと
・自分が居住するための住宅
・住宅専用家屋または住宅部分の床面積が9割以上の併用住宅
登記留保で節約できる登録免許税は抵当権設定登記だけ
上記の登録免許税の軽減のうち、抵当権設定登記以外の軽減措置は、登記留保をしなくても要件を満たしていれば軽減がなされます。
しかし、抵当権設定登記は、税額の計算が借入額×税率なのに対し、軽減の要件が「新築住宅または中古住宅」と定められています。
つまり、土地を先に購入してそこに住宅を建てる場合、登記留保を行わないと、先に土地の抵当権を登記されてしまいますので、土地の借入金額分は軽減措置の対象とすることができなくなってしまいます。
まとめ
登記留保を行うことで登録免許税を節約することができます。
登記留保は、ほとんどの金融機関で行っていますのが、進めてくる金融機関は多くないと思いますので、住宅ローンを組む際には、登記留保が可能かどうか確認するようにしましょう。
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