皆さんこんにちは。
2020年度より一般的な野立て型太陽光発電は、全量売電が不可能となりました。
その一方、例外的に全量売電が認められているソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)が注目されています。
今回は、そんなソーラーシェアリングにおいて栽培に最適な農作物である榊について、解説していきます。
ソーラーシェアリングのメリットや事業スキームについては以下の記事を参照ください。
ソーラーシェアリングで栽培が成功しやすい榊の育成方法とは?
榊とは?
榊は、モッコク科・サカキ属に分類される常緑性の小高木です。枝や葉は、神事の玉串として利用されることで知られます。
常緑小高木であり、3年で2mほどまでしか成長しません。
日陰でも十分に育ち、病害虫に強いことから、手入れがほとんど必要ありません。
俗に言う榊とは「本榊」のことであり、北陸や東北では、寒さに強い「ヒサカキ」とよばれる別種が主に栽培されています。
ヒサカキも、日陰で育ち、丈夫で育成がしやすい植物です。
その他にも、ノコギリバサカキ等もありますが、農作物として事業的に栽培されているのは本榊とヒサカキが代表的です。
なぜ榊はソーラーシェアリングに最適なのか?
上でも解説した通り、榊は
①日陰で育ちやすい
②丈夫で手入れがしやすい
③低木樹であり大きくなりにくい(放置し続けていれば10メートル程度まで成長する様ですが)
といった特徴があります。
これはいずれもソーラーシェアリングが成功するために重要なポイントを抑えています。
①については、遮光率(地上に届く光を遮る割合)が高ければ高いほどパネルには太陽光が当たりますので、太陽光発電においては、日陰でも育つ植物は最適といえます。
②については、基本的にどんな農作物を育てるためには手入れを定期的に行わなければなりません。
榊も除草や土壌の改良等を行う必要はありますが、病気に弱い植物や害虫が発生しやすい植物に比べれば、比較的手がかからない農作物といえるでしょう。
③については、一般的に樹高が高くなる植物はパネルの下で育てるのに向いていません。
一方、生育がゆっくりで管理がしやすい榊はソーラーシェアリングに適しています。
また、太陽光パネルを設置することで、榊の生育に対する利点もあります。
榊の弱点として、茶のように霜に弱いということがあげられます。
ですので、一般的には平地で育てるためには霜除の設備が必要となりますが、太陽光パネルは霜除けとしても機能します。
つまり、榊を守るような形になるのです。
榊の販売ルートは?
榊の主な使途は、神事に用いられる他、一般家庭でも神棚に飾られます。
しかし、その実態は90%以上が海外(主に中国)からの輸入されているのです。
そのため、国産榊というものは最近では貴重な存在となっています。
中でも本榊は価値が高く、神社などから求める声が多いようです。
その理由は鮮度の違いです。
中国から箱詰めされて輸入される榊は、保存環境も良いとはいえず、輸送期間も長期間となるため、早く弱ってしまいます。
一方、国産は1ヶ月以上も生き生きとしておりその差は歴然です。
また、中国産に比べると日本産の榊は、緑の色が深く綺麗なものが多いのが特徴とも言われます。
販路の開拓はJAにまかせる
幾らニーズがあるとはいえ、一介の農業者が直接販路を獲得できるかというとそんな簡単にことは進みません。
そこで頼れるのが日本各地に存在するJA(農業協同組合) です。
JAは、農業者である組合員が生産した農産物を集荷して販売しています。
販売活動の過程で、需給調整や付加価値の向上のために、貯蔵・加工をJAが行うこともあり、このような事業もJAの販売事業とされています。
JAの販売事業は、一時期は閉鎖的なイメージが先行していましたが、政府による農協改革やJAに頼らない農家の増加により、現在はより組合員に寄り添う形となっていますので、営農について困ったことがあればJAは頼れる味方といえるでしょう。
また、JAは一般顧客向けにファーマーズマーケットを展開しているため、大規模な栽培を行なっていない方であれば、ファーマーズマーケットに卸すだけで利益の出る販路を確保することができます。
なぜなら、ファーマーズマーケットは生産者である農家が販売価格を自分で決定することができるからです。
つまり、JAは農家が農産物を販売する「箱」を提供している(手数料は掛かりますが)だけであり、ファーマーズマーケットで販売を行えば、赤字になるようなことは滅多に起こらないのです(よほど物価が低ければ別ですが)。
榊は一般家庭の神棚でも利用する方がいますので、十分な利益を出すことができます。
農産物の販売にJAを頼るのを見越して、ソーラーシェアリングへの融資もJAから借り入れするとよりスムーズに相談に乗ってもらえるはずです。
まとめ
榊は栽培が比較的容易であり、国産のものであれば需要も十分にあります。
これからソーラーシェアリングを行うことを検討している方は、農作物の候補の一つとして、ぜひご一考ください。
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