皆さんこんにちは。
最近は大分値を戻してきていますが、新型コロナウイルスの影響で世界中の主要株価は軒並み下落しています。
今回は、その中でも特に低迷している銀行株が今後見直される可能性について解説していきます。
新型コロナウイルスの影響で融資要請が殺到する銀行の株価は上昇するのか
新型コロナウイルスの感染拡大により収支が改善する可能性
新型コロナウイルスの感染拡大で、資金繰りに窮する企業が続出しています。
その結果、銀行には融資要請が殺到していることから、この状況は貸出残高の伸び悩みに苦しんでいた銀行にとっては追い風のように思えます。
また、今回のコロナショックで興味深いのは、銀行に融資を要請しているのが、銀行借入の依存度が高い中小企業だけではなく、金融市場から資金調達可能な大企業も、手元資金確保のために銀行からの融資に頼っている点です。
中でもトヨタ自動車は、三菱UFJ銀行と三井住友銀行に1兆円の融資枠の設定を要請し、その他にも日産やソニー、リクルート等の大企業や大手を含む航空会社等がメガバンクや地銀へ協調融資の要請を行いました。
これは、リーマン・ショックの際と同様の現象であり、今後はさらに融資残高は増加することが見込まれます。
全ての融資要請に対応すると銀行は破綻する可能性がある
上記では、銀行業界は追い風を受けているような状況であることをお伝えしましたが、一概にそうとは言えません。
なぜなら、コロナショックによる新規融資を含め、貸出した債権が返済不能に陥った場合は、その債権全額が損失になる可能性があるからです。
もちろん銀行は突然貸出債権が損失にならないよう、決算時に「自己査定」といわれる処理を行い、倒産しそうな企業に対しては、貸倒引当金※を積んで備えています。
※あらかじめ貸倒リスクのある債権に引当金を積んでおくことで、翌年度以降の貸倒に備えること。
また、メガバンクの当期純利益は数千億円、大手地銀の当期純利益でも数百億円ありますので、貸出残高が数千万円〜数億円の中小企業が数社倒産したくらいではそこまでダメージはありません。
しかし、今回のような突発的の不況では、銀行が予想していなかったような企業が倒産する可能性があることや、中小地銀の利益は数十億円〜数億円の場合も少なくありませんので、倒産する企業が少し増加すると一気に赤字となってしまいます。
新型コロナウイルスの影響による緊急融資は公的資金を利用すれば問題ない
しかし、私自身は銀行の業績が下向く可能性は非常に低いと思っています。
なぜなら、銀行が全リスクを負うプロパーの事業資金は、不況時においては、よほど業績が好調な企業でなければ厳しい審査がなされることから、新型コロナウイルスの影響が出てからの新規融資において回収できなくなる可能性は低いと思うからです。
もし、銀行でプロパー融資が厳しいと審査上判断されれば、信用保証協会による保証を付けての融資を行いますが、その場合は銀行にとってはノーリスクですので、業績には関係がなくなります。
また、現在は、経済産業省が中心となって、中小企業向けの実質無利子無担保融資が行われています。
また、それ以外にも中小企業や個人事業主が利用できる制度融資は沢山あります。
詳しくは下記記事をご覧ください。
つまり、わざわざ民間の銀行がリスクを負って、経営支援を行う必要がないのです。
また、銀行は収益だけではなく、自らの財務についても適正に保たなくてはいけません。
これは国際的な枠組みで定められていることですので、むやみにリスクを冒して、返済が見込めないような企業に貸出を行うことはできません。
これをバーゼル合意といい、金融機関の自己資本比率等の基準を定め、その健全性を保つことを目的としたものです。
詳しくは、下記記事をご覧ください。
融資担当者には生き残る企業を見極める目利き力が求められる
上述したように、銀行は不況でも生き残る企業とそうでない企業を見極め、自らの収益及び財務状況を適正に保つ必要があります。
その一方、連鎖倒産が起きるような事態を回避するよう、将来の収益性が見込める企業には支援を行う必要もあります。
つまり、現状はコロナショック以前とは明らかに異なり、銀行優位な状況にあるのです。
そして、銀行はこの状況をチャンスと捉えて存在感を発揮するべきです。
例えば、現状では収益性や財務的に安全性が低い企業でも、伸びそうな新規事業や高い商品クオリティのある企業はあります。
そうした企業の販路の拡大可能等の経営支援を行うことで、他の取引先とのM&A(企業の合併・買収)やビジネスマッチングを行い、融資によらない支援を行うこともできます。
そして、そういった支援により業績が上向けば、新規融資を行うことができるようになり、その企業との関係をさらに深めることができます。
逆に、上述したような対応ができない銀行は、存在価値のない銀行として、生き残りが難しくなるでしょう。
銀行株はあまりにも割安すぎる
銀行は現在、株式市場においてはかなり厳しい評価を受けています。
例えば、株価が割安であるかを判断する指標として代表的な「PBR(株価純資産倍率)※」は、1倍を下回ると割安とされますが、その1倍を下回る地銀は東証1部上場でも20行以上存在しています。
※株価÷1株当たり純資産で算出される。
つまり、そのような銀行は、株式市場からは投資する意味はない」と見られているということです。
その背景には、マイナス金利の導入により低金利が続き、収益環境が厳しいことが挙げられますが、メガバンクや首都圏の大手地銀が保有する債権や有価証券を全て売却して手元に残る資金が簿価を下回ると投資家から判断されていることには違和感を感じます。
また、銀行株が上昇するのに必要となるのは、主業である貸出業務が、金利上昇により収益改善することです。
これは、マイナス金利政策が終われば、ある程度回復する見込みがあります。
また、銀行は景気全体の影響を受けやすく、コロナショックでも大きなダメージを受けましたが、今後新型コロナが収束に向かい、景気が徐々に回復することが見込まれますので、株価は現在の水準からは上昇することが想定されます。
銀行株は配当利回りが段違いで高い
銀行株の最大の魅力は、配当利回りの高さです。
これは、単純に株価に対しての当期純利益が高水準であると捉えても良いと思いますが、東証1部の銀行では、あおぞら銀行の8%程度を筆頭に、メガバンクは6%前後で、その他の大手地銀でも5%を超える銀行が複数行あります。
銀行株を中長期で持っていれば、景気回復時に株価が上がる可能性があり、たとえ株価が変動しなかったとしても、高額な配当を得ることができるということです。
つまり、キャピタルゲインとインカムゲインの双方を狙える、投資対象としては魅力的な株だと言えます。
まとめ
銀行株は今後、上昇する可能性が高いと思いますが、新型コロナウイルスの影響が長引けば、逆に最もダメージを受ける可能性もある業種です。
本記事はあくまでも私見であり、投資は自己責任で行うようよろしくお願いします。
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