皆さんこんにちは。
アパートや賃貸マンション等を経営する上で非常に重要なのが、修繕(リフォーム)計画をあらかじめ立てておくことです。
今回はいかに修繕計画をたてるか、またその資金として使えるリフォームローン、賃貸住宅資金(ローン)について解説していきます。
賃貸住宅建設時に借りることのできるアパートローンについては下記の記事をご覧ください。
賃貸住宅やアパートの修繕にはリフォームローンが使える?修繕計画の立て方によっては賃貸住宅ローンも?
修繕計画の基本的な立て方
アパートなどの賃貸物件については、建設前の収支計画を立てる段階で、どのような修繕工事をいつごろ行うか、また、その工事にいくら費用はどのくらい見込まれるのかをあらかじめ考えておく必要があります。
しかし、実際に長期修繕計画を策定している家主は、国土交通省住宅局の 「民間賃貸住宅の大規模修繕等に対する意識の向上に関する調査検討報告書」 によると、僅か22.8%にとどまっています。
また、長期修繕計画を策定した場合、94.1%の家主が計画に基づいた計画的・定期的な修繕を行っている一方、長期修繕計画を作成していない場合は、修繕を定期的または、必要に応じて実施している割合は50.3%でした。
さらに内訳を見ていくと、長期修繕計画に基づく修繕を実施した家主は、「家賃水準を維持できた」が(42.8%)、「高い入居率を確保できた」(39.3%)、「長期にわたり住宅の性能が維持できた」(30.4%)と回答しており、長期修繕計画を策定した場合には大きなメリットがあることが分かります。
つまり、長期修繕計画を策定することによって、管理物件の修繕が必要な時に計画的に備えることができ、それが入居者が望む物件の水準をキープすることに繋がっているのです。
大規模修繕に必要な資金をリフォームローンを借りることができるのか
長期修繕計画を策定する際には、もちろん毎月の修繕積立金がメインとなりますが、それでも足りない可能性があります。
その場合は、金融機関の融資を使うことが可能ですが、一つ気をつける必要があるのが、ネットから申し込めるような一般的なリフォームローンでは賃貸住宅をリフォームすることはできない、ということです。
なぜなら、一般的なリフォームローンは、一般住宅つまり、借主本人が居住する家をリフォームすることを想定して作られているからです。
そこで賃貸住宅のリフォームを行うために金融機関では、賃貸住宅向けリフォームローンを用意しています。
なお、その多くは、店頭での受付となっていますので注意しましょう。
賃貸住宅向けリフォームローンでは何ができる?
賃貸住宅向けのリフォームローンも一般的なリフォームローンと同じく、下記のようや工事に対して使うことができます。
・外装や外壁、屋根・屋上の補修
・バルコニー、共用部(階段・廊下・軒天)の補修
・給排水管等の設備更新
・内装や賃貸物件内の改修
・駐車場の補修 等
アパートローンもリフォーム資金に使用できる
また、賃貸物件を建てるために使われるアパートローンについても賃貸物件のリフォーム資金にも利用できます。
アパートローンは、融資を受けるために事業物件を担保としなければなりませんが、金利は賃貸住宅向けリフォームローンと比較すると低くなります。
しかし、担保の抵当権設定のための登録免許税や登記費用が掛かりますので、注意が必要です。
賃貸併用住宅なら住宅ローンも使える
賃貸併用の住宅であれば、ローンを組む本人の居住面積が建物の割合の50%以上である場合には住宅ローンも活用可能です。
これは、賃貸住宅の建設時も同様に可能です。
住宅ローンは非常に低い金利で融資を受けることができますので、当てはまる方は積極的に活用すべきです。
その他にも金融機関のプロパー資金(保証会社の保証がついていない融資)等の活用も可能です。
賃貸住宅向けリフォームローンの融資対象は?
通常の賃貸住宅に対する融資は、生活系ローンと違い、事業資金となりますので、物件の収益力に加え、立地や築年数等の定量評価による審査が一般的です。
一方、賃貸住宅向けリフォームローンは、事業資金でありながら、生活ローンのような定型的な要項審査が行われることが多々あります。
しかし、金融機関によっては、融資対象物件や申込人の居住地に制限がある場合や、賃貸経営の経験年数や過年度実績が求められる事があります。
また、団体信用生命保険への加入が義務付けられていることもありますので、高齢の方は特に、融資元の金融機関に融資条件の確認をすることをおすすめします。
賃貸住宅ローン(アパートローン)の大まかな審査基準
審査基準としては、以下のようなものがあります。
①申込可能年齢
20歳以上65歳以下、完済時の年齢が満75歳以下を基準にしている金融機関が多いと思います(金融機関により違いはありますが、大幅に変わるようなことはないと思われます。)
②借入可能額
借入可能額に関しては無担保で借入する場合ならば1,000万円程度までであり、それ以上の金額(数千万円から数億円)が必要な場合は、事業対象物件に抵当権を設定した上での借入になるでしょう。
また、無担保型のローンは、取り扱っていない金融機関もありますので、注意が必要です。
借入を申込む際は、自分がどのくらいの借入金を必要としているかをしっかり把握するようにしましょう。
③返済期間
返済期間も金融機関によって異なります。
無担保型の場合は、最長15年程度である事が多いですが、有担保型や連帯保証人を立てる場合は最長で30年程度まで可能となる商品もあります。
また、融資対象となる物件の構造により、耐用年数が異なりますので、返済期間が変わることもあります。
ですので、金融機関などでローンの話を聞く際には物件の条件等も確認しておいた方が良いです。
④金利
基本的には「固定金利」と「変動金利」で選択が可能です。
金利については、担保の有無や物件の収益力等を評価して、リスクが低ければ低いほど利率も低くなります。
一般的には、1.0%〜3.0%程度となります。
⑤その他
その他にも、
・業歴3年以上の実績があり、安定的な家賃収入が見込める
・既存のアパートローンにおいて、直近1年以内に返済遅延がない
・リフォームするアパートが本人所有であること
等の細かい基準もあります。
アパートの経営について、収益力の維持向上に努めてきたか、また、借入金については返済が滞りなく行われているか等の経営者の資質についても必ず審査されますので、日頃から物件の管理をしっかりと行う事が必要です。
アパート向けリフォームローン利用時に押さえておくべきこと
リフォームローン利用時には、どのような金融機関へ申込むのがベストなのか、ポイントについて解説します。
①複数の金融機関を比較
リフォームローンの申込の際には、必ず複数の金融機関を比較する必要があります。
なぜなら、金融機関によって審査の基準が異なりますので、必ず金利差が発生するからです。
アパートのリフォームには多額の費用が掛かりますので、利息支払は極力少なくできるよう努めましょう。
②既往の借り入れがある場合は借換も交渉材料にする
既往の借り入れがある場合、ローンの申込を行う際に借換を示唆するような発言を行うと、金利を低くしてくれる可能性があります。
金融機関の担当者は、残高の大きなアパートローンを借り換えされることを嫌いますので、交渉の材料とすることをお勧めします。
アパート向けリフォームローン利用の流れ
続いて、リフォームローンの申込から実行までのフローについて解説します。
①リフォーム業者に見積もりをもらう
まずは、リフォーム業者から見積もりをもらう必要があります。
なお、業者により見積金額は必ず異なりますので、複数の会社への相見積もり依頼を絶対に行いましょう。
②ローン仮審査
ローンには、正式審査と仮審査の2種類の申込方法があります。
仮審査は、書類や申込書への記載事項が簡略化されるため、申込の手間は省けますが、その分審査の正確性が下がりますので、正式審査を申込んだ際に審査結果が変わる可能性がありますので、注意が必要です。
③工事請負契約の締結
仮審査が承認されたら、リフォーム業者とリフォーム工事に関する請負契約を行います。
契約書については、業者が用意してきますが、契約内容については、発注者側が不利なるような文言がないか必ず確認しましょう。
④ローン正式審査
契約を締結したら、ローンの正式審査の申込をおこないます。
リフォーム業者と取り交わした工事請負契約書等の資金の使用目的を証明する書類や、申込人の所得を証明する書類等の必要書類を金融機関に提出します。
⑤融資の実行
正式審査が通ったら、リフォーム業者への支払いを行うために振込を行います。
なお、原則として実行した融資金が申込人の口座に入金されるのと同時に業者へ振込む必要がありますので、複数の業者へ発注する際は、振込日を同日にしなければならない金融機関もあることから、注意しましょう。
また、融資の承認までの期間はローンの申し込み時期や金融機関、担保の有無によって異なり、アパート向けリフォームローンは事業性の融資ですので、個人向けのローンと比較すると審査の期間は長くなる傾向があります。
時期に余裕を持って審査の申込を行うようにしましょう。
ローン申請に必要な書類
担保の有無等の融資条件や金融機関によって必要書類が異なりますので、事前に確認することをお勧めします。
なお、下記に一般的に必要とされる書類を例示します。
・本人確認資料(運転免許証・健康保険証)
・所得証明書(源泉徴収票等)、確定申告書
・リフォームする物件の不動産登記簿謄本
・資金使途を証明する書類(工事請負契約書や見積り書)
まとめ
リフォームは建設当初に策定した長期修繕計画に基づき積立を行い、無理のないように行いましょう。
また、ローンを組むことで賃貸物件の収支が悪化してしまっては意味がありませんが、修繕積立金では賄いきれないような「空室対策」、「資産価値の下落対策」を行う必要がある際には強い味方となります。
リフォームローンを組む際には、必ず今後の収支計画を再度策定するようにしましょう。
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