皆さんこんにちは。
日に日に感染者が増えていく新型肺炎ですが、それに伴い世界経済、特に中国と日本に与える影響も増大しています。
今回は、新型コロナウイルスによる新型肺炎が中国・日本経済に与える影響について考察してみたいと思います。
新型肺炎が引き起こす日本経済の減速
新型肺炎による中国経済への影響
GDP成長率は大幅なマイナスとなる可能性
世界中が、中国武漢市を起点とする新型肺炎の感染がどこまで広がるか注目する中、平時であれば、金融市場で注目されるであろうパウエルFRB議長による議会証言や米中貿易摩擦への関心は、相対的に薄くなっています。
なぜなら、経済に与える感染拡大の影響が、軽視できないレベルで拡大しているからです。
現在の中国では、春節で旅行や帰省した人々が出勤できない等、企業がまともな活動を行えていない状況が続いています。これから、中国の市民が自由に行動し、通常の企業活動を行えるようになるにはかなりの時間がかかることが想定されますので、感染拡大の影響は現在よりさらに大きくなるでしょう。
SARS発生時とは中国経済の状況が異なる
SARS発生時の2000年台前半に比べ、中国経済の成長性は勢いが弱まっていますので、当時のような急激な回復は望めないでしょう。
SARS発生時の2003年第1四半期のGDP成長率は11%であり、第2四半期は9%まで低下しましたが、2004年の第1四半期は11%と元の水準まで回復しました。
つまり、中国経済の成長に勢いがあったため、SARSは中国経済に大きな影響を与えず、2003年のGDPに対する影響は、通年に換算すると-0.5%程度と小さなものでした。
しかし、現在の中国経済は成長が鈍化していることや、米中貿易摩擦の真っ只中にあることから、当時のような回復力はありませんので、GDP成長率が低下してしまえば、回復に時間がかかることが確実視されます。
また、2003年の中国のGDPは12兆人民元程度であり、SARSの与えた損害は1000億人民元程度だったのに対し、現在の中国のGDPは100兆人民元に達しており、SARS発生時と比べると、その損害による世界経済への影響が大きくなるのも必至といえます。/
中国は「中所得国の罠」にはまっている
経済成長により中所得国化した国が、先進国入りを前に成長が停滞することを「中所得国の罠」といいます。
今までの中国は安価な労働力を強みに輸出主導で経済成長を遂げてきた結果、中所得国の仲間入りを果たしました。
しかし、現在の中国はこの状況にあり、今回の新型肺炎の感染拡大は、「罠」にはまり経済が停滞しつつある中国への投資縮小に繋がりかねず、さらなる成長率の低迷が懸念されます。
新型肺炎は日本経済にも影響がある?
しかし、上記のような経済への悪影響は日本にとっても他人事ではありません。
残念なことに、日本の感染拡大への対応は中国と同様に問題点が多数ありました。
それは、WHOの対応を待ちすぎて(WHOも対応が遅すぎたのですが…)武漢からの旅行客を受け入れてしまう等、初期対応が遅れた結果、一般市民への感染が防げなかったことや、クルーズ船のダイヤモンド・プリンセス号で感染者が発生してからの対応で、全世界が注目していたにも関わらず、感染検査の遅さや対応の不備が目立ってしまいました。
その結果、アメリカをはじめとした多くの国が、チャーター機を出して自国民を運び出す動きに出ています。
感染拡大が日本経済に与えるダメージは大きい
また、テレビ等でウイルスの専門家が「中国湖北省以外の人もウイルス検査を受けられるようにするべき」と要求を繰り返していたにもかかわらず、厚生労働省が誰でもウイルス検査を受けることができるようにする方針を示したのは2020年2月14日でした。
その間に国内の市中感染はあっという間に拡大し、多くの感染者を出すことになりました。
今後の問題として、日本が脆弱な検査体制しか持ち合わせていないと世界の国々が認識してしまった結果、5ヶ月後に迫った「東京オリンピック・パラリンピックに対して、どのような対応を行うか」です。
このまま感染の拡大に歯止めがかからなければ選手団の派遣中止や日本への観光自粛等の措置が取られる可能性もあります。
今後の日本経済で期待できる明るい話題が、東京オリンピックとそれに伴うインバウンド増加だったことを考えると、投資家が期待しているような「オリンピック景気」は到来せず、逆に景気が減速することになるでしょう。
また、下記の記事で、今後の金融市場がどのような動きをするか考察していますので、是非ご覧ください。
まとめ
新型肺炎による感染拡大は、人々の健康面だけでなく、経済的な生活環境も変えてしまいます。
特に経済大国である中国や日本で感染が拡大すれば、世界経済に与える影響も大きくなり、結果として景気の後退を招くことに繋がりかねません。
少しでもリスクを減らすために、一人一人の感染防止意識を高めていきましょう。
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