日本銀行は日経平均株価の大暴落で債務超過になるのか。

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皆さんこんにちは。

新型コロナウイルスの感染拡大が引き起こしたコロナショックにより、日経平均株価は連日下落が続いています。

この株価の大暴落により、日本銀行(以下、日銀と言います。)の財務内容が毀損しているのではないか、と過去(下記)の記事で記載しました。

今回は、そんな日銀の財務内容や債務超過になる可能性があるのかどうか、考察をしていきたいと思います。

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日本銀行は債務超過寸前?さらなる株価の大暴落を招く可能性?

日本銀行とは?

そもそも日本銀行とは、「日本銀行法により定められた日本唯一の中央銀行」です。

その役割は

①銀行券(硬貨や紙幣)の発行

②通貨および金融の調節=物価の安定を確保

③金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保

となっています。

そして、現在、日銀は②の中でも為替と株式市場の安定という目的を達成するために、株式市場へ資金を供給しています。

その手段として取られているのが、上場投資信託(ETF)や国債等の購入です。

 

日本銀行の財務内容はどうなっている?

コロナショックで日経平均株価が大暴落する中、株価の安定を図るために、日銀は緊急の金融政策決定会合を開催し、追加の緩和策として、「ETFの買い入れの倍増」を打ち出しました。(2020年3月16日)。

その詳細は、現在行なっている「ETFを年間6兆円増加するペースで買い入れる方針」から「年間約12兆円増加するペースを上限に積極的に買い入れる方針」としています。

これは、新型コロナウイルスの感染拡大により、急落が続く日経平均株価へのテコ入れとしては、ETFの買い入れが、日銀が現在、唯一できる金融緩和策だったのではないかと私は思います(詳しくは、日銀はコロナウイルスに打つ手なし?不況時の経済対策の利下げとは何か? を参照ください。)。

ただし、これは公的資金による株価の買い支えですので、日銀が膨大な負担を負うことになります。

 

なぜ日銀はETFを買い入れるのか

日銀がETFの買い入れを始めたのは2010年からです。

では、なぜ日銀はETFの買い入れをしているのかというと、最終的には、物価を上げることを目的としています。

市中に出回る資金の量が増えることにより企業の投資が促されたり、株価を買い支えすることにより株価が上がり、一般投資家が儲かることで消費が増加するため、物価が上がります。

つまり、企業には設備投資を促すとともに、個人の株式投資も活発化させようとしたのです。

 

ETFは日銀の財務内容を毀損するリスクが高い

日銀は、物価の2.0%上昇という目標を目指し、2013年4月より「異次元緩和」とも言われる、過去に例を見ない金融緩和策「量的・質的緩和」により、ETF買い入れ額を増加させていきます。

2010年の年間買い入れ額が4500億円だったのに対し、2013年には年間1兆円、2014年には年間3兆円、さらに、2016年には年間6兆円まで買い入れ額は増加しました。

そしてとうとう、2020年には買い入れ額はとうとう12兆円となってしまったのです。

結果として、2020年3月10日時点のETF残高は29兆969億円にのぼるまで増加しています(日本銀行、営業毎旬報告より)。

また、ETFは投資信託なので、日経平均株価が下がれば当然時価が下がります。

そうなれば、日銀は大きな含み損を抱えることになり、日銀のバランスシートは悪化し、財務内容が毀損することになります。

 

ETFだけでなく国債にも財務の毀損リスクがある

その一方、「黒田バズーカ」とも言われた国債の購入により、日銀の国債年間増加額は約80兆円に増加しました。

ちなみに、上記の営業毎旬報告によると、保有する国債残高は494兆9109億円となっており、ETFに比べて17倍も保有残高が大きいことがわかります。

国債も価格は変動するため、日銀の取得価格から時価が下落すれば、財務内容の健全性が損なわれます。

では、どのような時にそのリスクが顕在化するかというと、日銀が現在導入しているマイナス金利政策を終了し、日銀が保有する大量の国債を売却しようとすれば、国債は供給過多になり、国債の価額は急落するでしょう。

逆に言えば、日銀が国債の購入ペースを変えずに、償還まで保有し続ければ、損害は発生しないので、売るに売れない状況にあるわけです。

また、上記のような背景もあり、景気が上向きだった現在に至っても、日銀はマイナス金利政策から脱却できませんでした。

その結果、今回のような金融危機クラスの株価大暴落時にも、アメリカやヨーロッパで最大の金融緩和策である「利下げ」が相次ぐ中、すでに政策金利を深掘り仕切っている日銀は「利下げ」という切り札を切ることができないのです。

 

すでに損益分岐点は下回っている可能性が高い

日銀がETFを購入し始めた2010年の日経平均株価は約10,000円程度を推移していました。

しかし、世界的な株価の上昇により、日経平均は20,000円を超える水準がここしばらくは続いていました。

その間、日銀は1日に350億円という巨額のETFを購入して、株価の買い支えを続けてきましたので、その平均取得価額は相当高値となっていることが想定されます。

実際に2020年3月10日には、日銀の黒田総裁が参議院で日銀の保有するETFについて、「1万9500円がETFの損益分岐点になっている」旨の発言をしました。

これを基に現在の日銀の含み損を計算すると、日経平均株価が3月17日終値である1万6500円として、ETF残高を3月10日時点の保有残高29兆969億円とすると、約4兆4700億円の含み損が発生していることになります。

 

日銀は実質債務超過!さらに経常赤字に転落か

日銀の純資産は2019年9月末(2020年3月期上半期、下記表参照)時点では、4兆1735億円ですので、ETFの含み損が約4兆4700億円ならば、「債務超過」となっていてもおかしくない水準です。

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参照: 日本銀行ホームページ

さらに、上記のような含み損が発生しているのであれば、日銀の2019年3月期決算の経常利益は2兆9億円ですので、経常赤字となります。

ちなみに、日銀は赤字になっても債務不履行に陥ることは実質ありません。

支払い手段でかる銀行券を自分で発行することができるからです。

しかし、日銀が赤字決算や債務超過となれば、日経平均株価はさらに暴落し、日銀の含み損が一段と膨らむ可能性があるので、日銀としては、そのような事態だけはどんな手を使ってでも防ぐように動くでしょう。

まとめ

日銀のETF買い入れには多くの問題が内包されていることがわかりました。

黒田総裁の今までの発言を現状の株価と照らし合わせると、もしかしたらすでに債務超過に陥っている可能性もあります。

しかし、日本の株式市場に大量の資金を注入している日銀は、株価のさらなる暴落を防ぐために、絶対にETFを売ることはできません。

個人投資家にとっては、それだけが唯一の救いかもしれませんが、日銀にとっては退路をたたれた形になりますので、いつか大きな問題となり浮かび上がってくると思われます。

 

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