皆さんこんにちは。
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、大阪府が府内のパチンコ店に休業を求めた問題については、休業を拒んで店名を公表されていた全店舗が2020年4月30日に休業を決定し、決着が付きました。
また、東京都や兵庫県等も同様に休業を要請しています。
しかし、この問題が解決するまでには、行政とパチンコ店の間で、休業をするか否かの激しい攻防がありました。
今回はなぜ、パチンコ店がこれほどまでに休業を拒んだのか、について解説していきたいと思います。
なぜパチンコ業界は行政に逆らってまで休業を拒むのか?
パチンコ業界の利益率は年々下がっている。
皆さんはパチンコ業界(正式にはパチンコホール業と分類されます)と聞いたときに、非常に利益率の高い、いわゆるボロ儲け状態の業界であると想像する方もいるのではないでしょうか。
確かにそのような時代もあったのかもしれませんが、現在はそれとは真逆の、非常に薄利な経営を行うパチンコ関連企業がほとんどとなっています。
利益率を下げたのは風営法施行規則の改正
パチンコ業界の利益率が下がった理由は明確です。
それは、風営法施行規則の改正により、射幸性が抑えられてしまったからです。
その規則改正の主な目的は、「ギャンブル等依存症対策」として、「射幸性」つまり大当り1回あたりの出玉数を少なくすることで、出玉率の上限と下限をより厳しく設定することでした。
結果、顧客が大負けや大勝ちすることを防ぐことになり、ギャンブル依存を抑えることにつながりました。
パチンコ業界は固定費が非常に高額
利益率が下がり、ただでさえ経営の苦しいパチンコ業界にさらに追い討ちをかけているのは、販売費及び一般管理費に占める固定費の割合が非常に大きいことです。
固定費とは、人件費や水道光熱費、減価償却費、家賃等の毎月必ず支払いが発生する費用です。
パチンコ関連企業では、その中でも特に減価償却費またはリース代が非常に高額です。
その原因は、集客力をキープするために一台20万円〜100万円程度はかかるパチンコ台やスロット台を頻繁に入れ替えなければならないからです。
そして、パチンコ台、スロット台は一店舗に数百台はありますので、それを全て購入やリースにより賄うと非常に高額な固定費を支払うことになります。
特に購入していた場合はその傾向が顕著となります。
なぜなら、パチンコ台の法定耐用年数は2年、スロット台は3年ですので、仮に1年間にかかるパチンコ台の購入費用が2,500万円(500台×50万円)だとすれば、年間の減価償却費で1,250万円を費用計上しなければならなくなります(定額法の場合)。
そしてその費用は店舗を休業していても掛かり続けますので、パチンコ関連企業は休業を嫌がるのです。
金融機関は融資に後ろ向きな対応をとりがち
上記のようにパチンコ業界は国の政策により風営法が変われば、利益に直接的な影響を受けやすい業界ですので、金融機関の中には新規の融資に後ろ向きな対応を取るところもあります。
もちろん全国チェーン等の業界大手は体力的に余裕があるので、そのような対応を取る金融機関は無いのですが、問題は規模の小さい地方のホールです。
どの業種でも地方に行けば行くほど商業規模は小さくなりますが、パチンコ業界は顕著であり、地方の中小零細企業が運営するホールは採算が取れなくなり、次々と閉店・廃業に追い込まれています。
また、政府が進めているIR法案(カジノ法案)※により、カジノリゾートの整備が進めば、一部の顧客が離れる可能性もあり、今後、業界を取り巻く環境がさらに悪化することも考えられます。
※統合型リゾート(IR)整備推進法…観光産業の活性化を目的とした地域開発を行うことを目的とした法案。
その目玉としてカジノを全面に押し出しているため、カジノ法案とも言われる。
実はギャンブルの規制を行う法ではないのです。
災害時や非常事態でも緊急融資が受けられない可能性がある
基本的には日本政策金融公庫等の政府系金融機関・信用保証協会は融資・保証の対象にパチンコ関連企業は含まれていません。
また、その他の公営ギャンブル関連業種や風俗業も含まれていません。
これを融資では「融資非対象業種」保証では「保証対象外業種」といい、日本政策金融公庫や信用保証協会により定められていますので、抜け道はありません。
つまり、利益が上がりにくいため民間の金融機関からは後ろ向きな対応をされる上、他業種であれば融資の最後の砦となるべき政府系金融機関や信用保証協会もパチンコ関連企業は使うことができないのです。
千葉県信用保証協会のホームページ に詳しく記載がありますので、詳細はご確認ください。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大への対策として、経済産業省はセーフティネット保証5号の対象業種を全業種とすることを検討しています。
これにより、政府系金融機関の融資、信用保証協会の保証の対象外となっているパチンコホール業も対象業種となりますので、一時的な休業であれば、パチンコ関連企業も耐えることができるようになると思われます。
まとめ
パチンコ業界はただでさえ非常に厳しい状況に追い込まれていますが、新型コロナウイルスの影響等の非常事態には、さらに経営環境は悪化します。
また、金融機関としても利益率の低さや取り巻く環境の悪さ、経営の脆さを理由に後ろ向きな対応を続けるのは明らかです。
今後はIR法によるカジノ建設も進みますので、業界として生き残りをかけた努力を行う必要がありそうです。
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