皆さんこんにちは。
施工不良問題が2019年に発覚した株式会社レオパレス21が2020年3月期決算を発表しました。
その内容は、約800億円の大赤字を計上する非常に苦しいものとなりました。
今回は、レオパレス21が今後、経営再建を成し遂げることができるのか、業績改善の余地について考察していきたいと思います。
レオパレス21は2021年3月期に債務超過となる?上場廃止の可能性は?
レオパレス21の2020年3月期決算内容
レオパレス21の2020年3月期決算は下表1の通り、賃貸事業でサブリースしている物件等への入居率の低下を主因に362億円(前期比▲437億円)の営業赤字を計上し、加えて施工不良の改修工事等の特別損失を計上したことから、最終的には802億円(前期比▲116億円)の赤字となりました。
【表1】
出典: 株式会社レオパレス21決算概要
この賃貸事業による赤字は、2018年4月に発覚した、同社が施工を手がけた物件で発見された施工不良が原因です。
当然そのような物件に住み続けたい人はいませんので、入居率は下表2の通り、2018年4月の92.82%から下がり続け、 2019年12月には78.91%まで低下しました。
しかし、足元では、改修工事を進めたことにより入居率が回復していますので、2021年3月期には計画通り、赤字幅が縮小することが見込まれます。
【表2】
レオパレス21の財務状況
2020年3月期の最終赤字により、同社の自己資本は約15億円(前期比▲797億円)まで減少し、企業の安全性を図る指標である自己資本比率は0.7%(前期比▲27.0%)まで低下する等、財務的な毀損が進みました(下表3参照)。
【表3】
個人的にはギリギリ債務超過にならないよう決算を調整したのではないかと思いますが、債務超過が1年以上続いた場合は上場廃止となる可能性が高くなることから、致し方ないとも思います。
なお、下表4の通り、キャッシュフローに関しても赤字計上や改修工事費により現預金の減少(年間約500億円)が進んでいますが、手元現預金は600億円を確保しており、資金繰りの悪化による倒産の可能性は低いとみて良いでしょう。
【表4】
しかし、この現預金の中の一部は、同社が展開しているホテル事業の不動産を売却することで確保した現金であり、手元のキャッシュを維持するためには資産を売却せざるを得ないほど追い込まれていると言っても過言ではありません。
また、同社はグアムにも物件を保有していますが、グアム事業からの撤退を発表していますので、近いうちに売却することが想定されます。
果たしてレオパレス21は倒産するのか?
上で述べた通り、2020年3月期の決算内容を精査すると、早々に倒産する可能性は低いと思われます。
それは、
①主力の賃貸事業は、入居率が損益分岐点である80%を上回っていること。
②施工不良物件(改修工事後)の入居率も回復基調にあること。
③手元のキャッシュは約600億円あり、短期的な資金繰りに懸念はないこと。
④2020年3月末時点で現金化可能な資産が230億円(簿価)あること。
が挙げられます。
同社はここまで主力の賃貸事業が牽引して、事業を拡大してきましたので、早期に改修工事を進め、信頼を取り戻すことで入居率が回復すれば、業績は次第に上向いていくはずです。
そして、入居率が回復するまでの期間で資金繰りが問題なく回るよう、資産の現金化を進めることで凌ぐことができる財務状態ですので、下表5の通り、2022年3月期まで耐えきることで、黒字転換する可能性も十分にあると思われます。
【表5】
上場企業が倒産した場合、保有株式がどうなるかは下の記事を参照ください。
レオパレス21は上場廃止となるのか?株価は?
上でレオパレス21が倒産する可能性は低いと考察しましたが、倒産はしなくても上場廃止となる可能性十分にあります。
それは、日本取引所グループが上場廃止の条件に「債務超過の状態となった場合において、1年以内に債務超過の状態でなくならなかったとき(原則として連結貸借対照表による)」と定めているからです。
あまり債務超過で上場廃止となった企業は多くはありませんが(2009年に東証1部を上場廃止となったゴンゾが直近)、レオパレス21も2021年3月期には80億円の最終赤字を計画していますので、債務超過となる可能性は十分にありますし、 2022年3月期に黒字転換が実現できなければ、そのまま上場廃止となる可能性は大いにあります。
ただし、東証は、2020年3月18日に「新型肺炎が原因と認められる債務超過については2年間の猶予を与える」旨を発表しましたので、必ずしも1年間債務超過が続いたからといって必ず上場廃止となるわけではない事は、覚えておきましょう。
まとめ
短期的に見ればレオパレス21は、債務超過寸前で上場廃止の可能性もある企業です。
しかし、同社が手掛ける不動産賃貸業は、本来は長期的に収益を安定してあげることのできる事業ですので、施工不良問題を早急に解決して、信頼を取り戻すことができれば、生き残り、業界の巨人に返り咲くことも可能かもしれません。
いずれにせよ同社の動向には注視が必要ですが、短期的な投資は危険な可能性もありますので、投資を行う場合は注意しましょう。
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